『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』感想

やっほ〜!

 

持たない幸福論』著者 pha(ファ)

 

を読んだ感想。

 

 

帯には

 

「真っ当」な

生き方から逃げて

楽になった。

京大卒の元ニートが提唱する、

そこそこ幸せに生きる方法。

 

とある。

 

「なんだか・・・特殊な人生を送っている人の、その人にしか通用しない考え方が書いてあるのかな?」って思ったけど「いろんな人の考え方を知るのもいいかな?」って思って読んでみた。 

 

おもしろかった!!

 

無意識に持っちゃってる「こうあらねば」に時々苦しくなることってある。

最近はそういうのどんどん捨てていこうって思ってるけど、そんなときにこの本を読んで「お!そういうやり方あるんだ~!」って刺激をもらった。

 

各章で私が心を動かされた言葉を引用しながら、感想を書く。

 

 

はじめに

 

 

 要は、多くの人が普通にこなせないものを「普通の理想」としてしまっているから、みんなその理想と現実のギャップで苦しむのだ。そんな現状と合っていない価値観からは逃げていいと思う。そんな価値観に従うのは自分で自分の首を絞めるだけだ。

 

 

 「真面目に学校に行ってちゃんとした会社に入ってずっと働き続けて家族を支える」みたいないわゆる「真っ当な」生き方は、世界にたくさんある生き方パターンの一つでしかないし、そのルートが向いていない人は無理にそれを目指す必要はない。自分に合わない場所で苦しむよりはそこから逃げてもうちょっと自分が楽にいられる場所を探せばいい。世の中に生きる場所は無数にある。僕自身も逃げて楽になった一人だ。

 

 

 でも成長するにつれていろんな本を読んだりしていくと、「今の世の中のメインになっている価値観は絶対的なものじゃなくて、それはここ何十年かで出てきた一時的なものに過ぎない。」「世界にはもっといろんな価値観や生き方がある」ということを知ることができて、そうすると「会社や学校に違和感を持つ自分の生き方もまあありなんじゃないか」という風に、自分の生き方にある程度自信を持てるようになった。

 本というのは「自分がぼんやりと気づきかけていることをはっきりと言葉にして教えてくれるもの」だ。本を読んで知識を得ることで、頭の中が整理されたり、考え方の選択肢を増やすことができたり、自分の周りの世界で当たり前とされていることを相対化して見ることができるようになったりする。本を読むことで僕は生きるのが楽になった。

 

 

 まさにこの本が

 「本を読んで知識を得ることで、頭の中が整理されたり、考え方の選択肢を増やすことができたり、自分の周りの世界で当たり前とされていることを相対化してみることができるようになったりする。」

そんな本だ。

 

 

第一章 働きたくない

 

 でも本当は、絶対にやらなければいけないことというのはそんなにないのだ。

 

 人間が人生で成し遂げられることなんて、頑張っても頑張らなくてもあまり大差ない。何かをちょっと成し遂げたとしても、どうせ五十年後にはほとんど忘れられている。仕事のために人生があるわけじゃなくて、人生の彩りの一つとして仕事があるだけだ。

 要は、世の中に絶対やらなきゃいけないことって別にないから、基本的には好きなこととかやりたいことだけやればいいと思う。嫌なことをずっとやってると体を壊して病気になって早死にするから、しんどいときは逃げればいい。自分が逃げたとしても大体の場合は何事もなかったように世の中は回っていくものだ。

 

 私はどちらかというと「頑張ることが好き」。

「頑張ってなんぼ」とか思ってた。

 でも、少し体を壊した時考えた。 

「今楽しい」って思うことが一番大事かも。

 

だらだら過ごして人生を終わるのはいやだ。

 「なんにもしなかったな・・・」って死ぬとき後悔したくない。

でも「がんばったなー!!全力でやったわ!!」って思って死にたいって思ってたのが、「人生楽しんだー!!」って思って死にたい、に変わった。

 

絶対にやらなければいけないことというのはそんなにないのだ。

 

楽しむために、楽しいから、頑張るなら全然いい!

でも、楽しくないなら今とは違う生き方も、全然あり。

 

 

第二章 家族を作らない

 

 「宇宙から見ればどうでもいい」という言葉を僕はよく思い出すようにしている。

  宇宙の持つ数百億年という膨大な時間と数百億光年という膨大な空間の中では、自分という人間が何をやってどう生きようがケシ粒みたいなどうでもいいことだ。全てはほんの一瞬の些細なことに過ぎない。

 そう考えると「全てがむなしい・・・・・・」という気分になるかもしれないけど、逆に僕は元気が出てくる。悩みごとがあるときは、宇宙のことを考えると「自分が悩んでることなんて大したことないや」って思えるし、あと、「全てが意味がないどうでもいいことなんだったら、常識とか他人の思惑とか気にせずに、自分が面白いと感じることをやればいいじゃん」って前向きに考えることができる。

 全てに意味がないということは、全てに意味があるのと同じことだ。意味のない全ての中から自分の好きなものに意味を持たせればいい。世界の全てはそういう主観でしかない。

 

 なにに意味があるのか、どう生きることが正解なのか、というものに絶対的な価値観なんてない。決められる人はどこにもいない。だから自分が楽しいと思うことをしたい。

自分が苦しくない生き方をしたい。

 

 

 家族という小さな一つの箱の中だけで、人間が求めるものをすべて何十年もずっと満たしていこうというのはなかなか難しさがあると思う。そうだとしたら、家族と家族以外を分ける境界線を少し曖昧にして、いろんな住み方や生活のあり方を試してみるといいんじゃないだろうか。例えば、「家族イコール同居」という枠をゆるめて、家族以外と一時的に同居してみるとか、家族でも離れて住んでみるのをありにしてみるとか。まあ人によって向き不向きはいろいろあるので、「家族だけで同居」というパターン以外にも、それぞれの人に合った形でいろんな暮らし方ができるような感じになればいいと思う。

 

 

この本の著者は結婚せずシェアハウスに住んでいる。その話もいろいろ出てきて、おもしろかった。

 

 

第三章 お金に縛られない

 

 この現代社会には物も情報も無数にあってあまりに選択肢が多すぎるので、うっかりするとそんなに好きでもない物や実感の持てない物に延々とお金や時間を使い続けるということになりかねない。お金の金額や世間の価値観で物事を選ぶのではなくて「自分の人生にとって大事なのは何か」「自分にとって実感が持てるものは何か」というのをちゃんと知っておくことが重要だ。

 自分にとって何が大事かがよく分からなくなったときは、感覚とか感情とかで判断するのも結構良い。片づけコンサルタント近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)という本には「手に取ってみてときめかないモノは全部捨ててください!」みたいなことが書いてあるけど、そんな風に「手で触れる」とか「ときめき」といった、身体性や感情、五感で感じることや気持ちを動かすものを基準にすると、わりと合ってることが多いと思う。

 

 

『人生がときめく片づけの魔法』私も読んだ。

これもすっごい良かった!!

今の自分に必要なものを必要なだけ持つと、余計なものを買わなくなる。必要のないことでお金を減らすことがなくなる。だから今自分に必要な物事に、躊躇せずちゃんとお金を使えるようになった。

この『人生がときめく片づけの魔法』は、読んで数ページで片づけをしたくてたまらなくなって、片づけを実践しながら読んだ。

家も心もすごくすっきりした。

 

 

第四章 居場所の作り方

 

 

 嫌いな人間といっしょにいる必要はないし、合わない場所からは逃げていい。世界は広いからもっと自分に合う場所がどこかにあるかもしれない。だからいろんな場所に行っていろんな人に会ってみるのがいい。そのために世界には人類がたくさんいるのだ。

 

 

私はそう思えるようになったのって大人になって、しかも最近だな。

「今ある人間関係を良くしなきゃ」っていう考えに苦しくなってた。

いろんな人がいるから、合わなくてもいい、嫌いになってもいい、それは自分がダメだってことじゃない。

 

 

本書のまとめ

 

 そんな風に新しいものを取り入れながら自分で生き方を工夫していくような人の人生や生活のサンプルが、十年後や二十年後の世界には今より何百万と多く蓄積されているだろうし、そうすればその頃は今よりも、もっと生きやすくてもっと選択肢が多くてもっと楽しい社会になっているだろう。そんな未来に期待している。

 

 

このブログには詳しく書かなかったけど、「新しいものを取り入れながら自分で生き方を工夫していくような人の人生や生活のサンプル」が具体的に書かれてたのも面白かった。

「変わること」を恐れずにいろんな生き方が増えていくとおもしろいな。

そうなったら、ほんと、今よりいい世界に、生きやすい世界になるだろうな。

 

 

文庫版あとがき

 

 

 僕が見田先生にもっとも影響を受けた点は、「自分にとって本当に切実なことを追求しなければいけない(それ以外のことはどうでもいい)」という姿勢だ。

 

 

この本は、著者は、「テキトーに生きてればいいよ」とは言ってはいない。テキトーに生きてて「自分にとって本当に切実なこと」って意識してないと、あっという間に「それ以外のどうでもいいこと」で人生終わっちゃいそうになる。

それ以外のどうでもいいことって体力も精神力も時間もあっさり奪っていくし。

 

この「見田先生」は文庫版解説を書いている。

 

 解説は普通、むつかしい本を、分かりやすく説明するものである。けれどもこの本は、はじめからとてもやさしく、分かりやすいので、これ以上分かりやすくすることなんてできない。仕方がないからここでは反対に、外付けの拡張機能みたいに、やさしい本文に、むつかしい解説をつけてみようと思う。

 

 

とあって、「えー・・・」って思ったけど面白かった!

読まれる方は、毛嫌いせず最後まで読まれることをおすすめ。

 

長文読んでくださり、ありがとうございました。